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に示す。風乾処理をおこなっていない(a)および(b)は、浸漬時間が3時間の時点で、海水のpHは9.5以上となり、5〜6時間経過した時にはpH10付近まで上昇した。これに対し、風乾を行った(c)および(d)では、pHの上昇は抑制されいる。これらの処理が海水pHの上昇を抑制し、海域への影響は低下することがわかった。
5. おわりに
石積み浄化堤の実証実験施設を三河湾沿岸域に築造し、長期にわたって水質浄化性能を調査した結果、以下の知見が得られた。
?内水域の透明度は、築堤から約40日を経過した頃より明確に外水域に比べて良好となり、その後の内水域は、透明度が概ね2m以上、SS濃度が5mg/l以下を維持した。
?懸濁物質濃度の月平均値は、外水域が2〜9mg/lであったのに対し、内水域は1〜3mg/lと低く維持された。
?CODMnについても、浄化効果が認められた。形態別にみたところ、懸濁態成分と溶存態成分で浄化効果は異なっていた。
?水量負荷を大きくした場合にも、SSやクロロフィルついて、高い除去性能のあることがわかった。
そして、こうした石積み浄化堤の築造における、コンクリート廃材の有効利用について実験的に検討した。新たに破砕されたコンクリート廃材からは、アルカリ成分の溶出が顕著であった。しかし、水洗後一定期間仮置きしておくことで、アルカリ成分の溶出は抑制され、海域への影響は極めて小さくなることがわかった。Fig-10に例示するような、コンクリート廃材を有効

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Fig-9 Effect of rinse and stock treatment.

利用する浄化堤を造成することは、堤体構造物がもつ本来の価値に加えて、海域の水質浄化を促進させ、豊かな海域環境を創出することにつながるものと期待される。
参者文献
1)細川恭史:生物膜を利用した汚濁海水の浄化法、ヘドロ,No.56,p.4〜9.1993.
2)Kazuaki AKI,et.al:Water purifcation system with permeable rubble-mound breakwater,TECHNO−OCEAN’88,Vol.2,p.453〜456.1988.
3)赤井一昭、他:汚濁水域の浄化システム、環境システム研究、Vol.17,p,100〜106、1989.
4)赤井一昭、他:付着生物による海水浄化の研究,海洋開発論文集、Vol.8,p.409〜413.1992.
5)Shuji MIYA0KA,et.al.:Development of anecological sea water purfication system with rubble mound,sea water purification efficiency of an on-site experimental faci1ity,ECOSET’95,Vol.2,p.905〜910.1995.

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Fig-10 An example of sea water purification system which is reused waste concrete material.

 

 

 

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